ダ・ヴィンチ - ワラウ

「白井悠介のなんとかなるさ」⑬『美男高校地球防衛部LOVE!』

2020年6月29日


  •  念願叶ってプロデビューはできたものの、ぼくを待ち受けていたのはまったくオーディションに受からない日々でした。


     事務所のおかげもあって、お仕事自体は細々とさせていただいていましたが、アニメのメイン・キャラクターのような大きい役を掴むためには、やはりオーディションを通過する必要があります。それなのに、全然受からない。自分のどこがいけないのかわからず、オーディション会場に行っては落ち込むばかり……。


     それでも腐らずにいられたのは、「なんとかなるさ」と思えたからです。


     事務所スタッフの皆さんが、新人の僕に期待をかけてくれていて、何度落ちてもオーディションのチャンスをもらえて、ありがたい状況でもありました。


     でも、皆さんからの期待を感じれば感じるほど、プレッシャーも大きくなります。早く合格しなきゃ……! 焦燥感は募るばかりです。


     しかも、1年先輩だった逢坂良太くんがアニメの主役に合格したことも大きかった。以降、彼はブレイクして、さまざまなオーディションで主役を射止めるようになりました。その姿を間近で見ていて、「ぼくも早く合格しなきゃいけない」と焦ってしまったんです。


     とはいえ、彼と自分とを比べて落ち込むことはありませんでした。むしろ、なにかのきっかけさえあれば、チャンスに巡り合うことさえできれば、逢坂くんみたいに第一線で活躍する声優になれるかもしれない。彼はまさにぼくのロール・モデルだったかもしれません。


     そんな風に希望を捨てずに走り続けた結果、ついにぼくにもチャンスが巡ってきました。それが2015年に放送されたアニメ『美男高校地球防衛部LOVE!』です。この作品でぼくは、メイン・キャラクターのひとりである鳴子硫黄役に抜擢されました。そう、4年間の苦しい時代を抜け、やっとの想いで掴んだメイン・キャラクターです。


     オーディション現場では演じたい役柄を指定することができたんですが、自分の中でこの鳴子役はノーマークでした。ところが、スタッフさんに「鳴子のセリフを読んでみてください」と言われ、役作りする暇もなく、ほとんど素の状態で演じてみたところ合格に! 自分でも予想していない結果でした。

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