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過酷な食事制限と命を預かるプレッシャー――ねむようこが妊娠中の夫婦を描く『君に会えたら何て言おう』

2020年6月28日

  • 『君に会えたら何て言おう』(ねむようこ/祥伝社)

     映画やマンガには、キャラクターが妊娠、出産するシーンが登場することがありますよね。ストーリーの根幹を担う重要なターニングポイントではありますが、“妊娠中”の期間はカットされてしまうケースが多いように思います。話の構成上、仕方ないことなのかもしれませんが…。


     でも、妊娠期間は十月十日と言われるように、約10カ月ものあいだ赤ちゃんがお母さんのお腹のなかにいることを思うと、あっという間なんてことはないはず。


     前置きが長くなりましたが、4月に発売された『君に会えたら何て言おう』(ねむようこ/祥伝社)は、ひとりの女性が過ごした妊娠中の10カ月を描いた単行本作品です。じつは、作者のねむようこ先生ご自身の出産経験をもとに描かれた本作。そのため、妊娠中のできごとや心境の変化が、とても丁寧に描かれているのが特徴です。


     主人公のキリは、夫のむっちゃんと愛猫・カルタと過ごす穏やかな日々を愛していました。その一方で「子供作るならそろそろ急ぎなよ なんて言われちゃうお年頃」で、産むべきか産まないべきか“答え”を出せずにいました。意を決して、子どもについてむっちゃんに尋ねてみると「いーんじゃない? キリが欲しいなら」と、まるで他人事。モヤモヤしながら仕事をこなすなか、キリの妊娠が発覚します。


     妊娠すると、お酒はもちろんナマモノ、カロリー過多なおやつなど、食べてはいけないもののオンパレード。ウワサには聞いていましたが、同作でキリの生活を垣間見て「食」に関する制限の多さに衝撃を受けました。お母さんが食べたものが、ダイレクトに赤ちゃんに届く…世のお母さんたちは、命を預かる責任を感じながら生活しているんですね。毎日テキトーな時間にテキトーなモノを食べている独身の筆者は、まったく頭が上がりません。


     思えば、妊娠していた友人たちは皆「出産後に食べたいものリスト」を作成していたような。本作を読んで、友人の食べたいものリストの謎が、ついに解けました。

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