ダ・ヴィンチ - ワラウ

40代以上の独身者に伝えたい「さみしさ」の効用

2020年7月31日

  • 「さみしさ」の力
    『「さみしさ」の力(ちくまプリマー新書)』(榎本博明/筑摩書房)

     独身で40歳を超えると、孤独との向き合い方が大切になるといわれる。独身は自由で気まま。40歳代にもなると使えるお金も増える。満足な人生を送っているつもりでも、時には孤独のさみしさが襲ってくることがある。


     孤独との向き合い方の本はいくつか出版されている。その中で、『「さみしさ」の力(ちくまプリマー新書)』(榎本博明/筑摩書房)は、孤独のさみしさの効用を説いている。本書は、多感に揺れる青年期と孤独、そのさみしさとの付き合い方を説明しているが、本記事では40代以上の独身者にも通ずるところを探っていきたい。


     そもそも、青年期からの孤独感は、どのようにして生まれるのだろうか。本書によると、青年期は「内向の時代」といわれるように、自分の内面に目が向かうようになる。自己探求が始まると、自己意識が発達し、個性や独自性の獲得に向かっていく。他方で他者とのズレが無視できなくなってくる。どんなに親しい間柄であっても、他者との間には乗り越えられない溝があり、それはどれだけ言葉を尽くしても埋められない。そんなときに孤独を感じ、無性にさみしくなるのだという。


     さみしさを感じることで、同時に、自分の人生は自身で責任をもって背負わなければならないという覚悟が徐々に固まっていく。個別性の自覚を備えることは、厳しく辛い過程だが、心の成熟に欠かせない。心が成熟することで、大人として自立できる。


     本書は、近年、さみしさとは無縁の若者が増えていると指摘する。誰にも邪魔されない時間をもつのが、非常に困難なのだ。邪魔をするのは、いつでもどこからでもアクセスできるSNSや、自分にアクセスしてくるメッセージ。スマートフォンで他者の動向をチェックし、気になる情報をネットで検索し、動画を観て過ごす。本書はこのような過ごし方を外的刺激に反応するだけの「受け身の過ごし方」として、孤独・さみしさから遠ざけると述べている。SNSやインターネットを一切遮断せよ、ということではない。時には切断して、自己を孤独に見つめる重要性を、本書は説いている。

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