ダ・ヴィンチ - ワラウ

「あたりまえ」が失われた夏に覗く未来『七月に流れる花』『八月は冷たい城』/佐藤日向の#砂糖図書館②

2020年10月17日

  • 佐藤日向

    今年はいつもと何もかもが違う夏だった。


    これはきっと、みんなが感じたことだと思う。


    昨今のコロナ禍で毎年行けていたはずの旅行や帰省、 それだけでなく普通に友達と遊ぶのが難しくなってしまい、 夏特有のキラキラした時の流れを感じにくくなってしまった。


    じゃあ、10年20年後の世界はどうなっているのだろうか。


    そんな風に考えていた時、私はこの小説に出会った。


    『七月に流れる花』『八月は冷たい城』は、恩田陸さんによるファンタジーとミステリー要素が詰め込まれた不思議な作品だ。


    "緑色感冒"という感染力の強い病が終息しつつある中で未だにゼロにはならない感染者。


    特に身内に感染しやすい緑色感冒は、夏流という街に患者を隔離している。


    そんな夏流では、緑色感冒患者の親を持つ子ども達が親の死期が近くなると、"みどりおとこ"という存在に夏流城に招かれる。


    そして招かれた子ども全員がマジックミラー越しに写る番号で親の死を確認するまで、林間学校を夏流城で続けなければならない。

    続きを読む