ダ・ヴィンチ - ワラウ

前代未聞の将棋ミステリー! プロ棋士の夢を捨てきれなかった男の末路を芥川賞作家が描く

2020年10月16日

  • 死神の棋譜
    『死神の棋譜』(奥泉光/新潮社)

     近年、将棋界が盛り上がっている。驚異的な強さの藤井聡太二冠の戦いをニュースで目にするたび、奥深い将棋の世界が気になっている人も多いのではないだろうか。そんな方に、ぜひ読んでみてほしいのが、『死神の棋譜』(奥泉光/新潮社)。本作は芥川賞作家がおくる、まったく新しい将棋ミステリーだ。


     3段リーグを抜けられずプロ棋士への道を絶たれ将棋ライターとなった北沢克弘は、名人戦1日目の夜、将棋会館で数人の棋士と奨励会員らが詰将棋の図面を睨んでいるのを目にした。詰将棋とは、将棋のルールを用いた一種のパズル。与えられた譜面に基づき、一定の持ち駒を使うなどして、王手をかけて詰めるというもの。


     その図式は、どことなく不思議な印象。詰むことができないのに、「不詰め」と片づけられない何かがあった。これを持ち込んだのは、北沢と同期の元奨励会員だった夏尾。来る途中に見かけた弓矢に付いていたのだという。この「魔の図式」が、後に数々の謎を呼ぶ――。

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