のんが挿画を担当! 不思議な能力を持った少女が、アイドルを目指す。しかし、待ち受けていたのは凄惨なラストだった
2021年1月14日

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『キャッシー』(中森明夫/文藝春秋) 怪作、あるいは問題作。一読してそう感じた。小説『キャッシー』(中森明夫/文藝春秋)の話だ。本作を読めば、誰もが度肝を抜かれるのではないだろうか。
著者である中森明夫さんはアイドル評論家として知られる人物。これまでにアイドルに関する著書を何冊も手掛けており、一方で小説家としての顔も持つ人気の書き手だ。
そんな中森さんによる『キャッシー』は、不思議な能力を持つひとりの少女の希望と絶望が入り交じる、驚愕の復讐譚である。
物語の主人公を務めるのは木屋橋莉奈(きやはし・りな)。タイトルにもある「キャッシー」とは、彼女のあだ名だ。
キャッシーは物心つく頃にはすでにいじめられていた。理由はわからない。取り立てて変なところがあるわけでもなく、むしろごく平凡な少女なのに、なぜか周囲の子たちはキャッシーを毛嫌いする。机には「バカキャッシー」と落書きされ、教科書やノートはゴミ箱に捨てられる。ただし、つらい日々のなかでキャッシーは心の支えとなるものを見つける。それがテレビの向こう側にいるアイドルたちだった。
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