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日本のものづくり現場はかくも美しい!小説家・小川洋子が綴る大人のための工場エッセイ

2021年4月22日

  • そこに工場があるかぎり
    『そこに工場があるかぎり』(小川洋子/集英社)

    〈長年抱き続けている工場への思い入れを本の形にして記したい。子どもの私が味わったあの瑞々しい体験を、作家になった今の自分の言葉でよみがえらせてみたい〉――著者・小川洋子のこうした思いから生まれたのが本書『そこに工場があるかぎり』(小川洋子/集英社)だ。

     生家の向かいには鉄工所があり、小学校の通学路には高い塀に囲まれた正体不明の工場があったという著者。「いったい中では何がおこなわれているのだろう」と妄想をふくらませていた子ども時代の好奇心はそのままに6つの工場を取材し、小説家ならではの表現で記録した。

     訪れた工場は、金属加工(大阪)、お菓子(神戸)、ボート(滋賀)、ベビーカー(東京)、ガラス加工(京都)、鉛筆(東京)。どれも時代の最先端でバリバリやっているというよりは、地味だけれど昔から身近になくてはならないといったものばかり。著者がその都度興味を惹かれる工場を取材していった結果、上記のようなラインナップになったのだとか。

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