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忘れられつつある「禁忌」の習俗を探る──民俗学者・柳田国男による大いなる「記録」の遺産

2021年4月24日

  • 禁忌習俗事典: タブーの民俗学手帳
    『禁忌習俗事典: タブーの民俗学手帳』(柳田国男/河出書房新社)

     子供の頃「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」などと教えられたことがある。正直、理由はよく分からなかったが「そういうものか」と思ったものだ。このような「理由は不確かだが戒められている行為」というのは、今でも割と残っているだろう。しかしそれでも、人々の記憶から消えてしまったもののほうが圧倒的に多いと思われる。そのような「戒められる行為=禁忌(タブー)」を、著名な民俗学者である故・柳田国男先生が全国から収集してまとめたのが『禁忌習俗事典: タブーの民俗学手帳』(柳田国男/河出書房新社)だ。


     本書は昭和13年、西暦でいえば1938年にまとめられたものである。もちろん私自身の浅学もあるのだろうが、収録された多くの習俗について初耳であった。さらに1938年の時点において、柳田先生でも「確かなことは分からぬ」というものもかなり存在しているので、記憶の風化が現代で加速していてもやむを得ないのかもしれない。それでも多少なりとも興味を惹かれそうな習俗を散見することはできたので、紹介してみたいと思う。

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